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浮気のDNA

「むらさき って 言われたらこの器で ・・・」
「はいっ」

「で ・・・ 普通のお料理の時の醤油はこっちの器ね」
「はいっ」

「あがりと 言われたら この湯呑みで ・・・」
「はいっ」

『亮一 旅館勤務 43歳』 旦那の告白

「若いからすぐに覚えられるわ」
「はいっ よろしくお願いしますっ」

今日から人生で初めてのアルバイトが始まる

今、俺に色々と教えてくれていたのが
酒井さんと言って ここでパートで働くおばちゃん
年齢は俺のオカンと一緒くらいだろう

ここは祇園のど真ん中
俺のおじさんが営むお寿司屋さんです。
俺の兄貴も高校に入ったころここでバイトをしてました。

とても賑やかな地域
でも 昼と夜とでは雰囲気が全く異なる
目の前には八坂神社 向かいの通りを下れば祇園の歌舞練場

お店の近くには白川が流れていて
ドラマの撮影なんかも多いところ
少し歩けば鴨川があり 昼間は観光者でわんさか

でも、夜になると飲み屋街に変身する。
お酒の匂いがどこからかしてきて こっちまで酔いそうだ

そんな夜のアルバイト 時間は夕方の6時から11時まで
俺にちゃんと勤まるのか不安だが おじさんも
この酒井のおばちゃんも優しいから何とか頑張れると思う。

1週間ほど過ぎて クラブが休みだった日に
いつもより早めに 少しでも仕事を覚えたくて
おじさんが仕込みをしているお昼に行ってみた。

扉は開いてるのに 誰もいない
奥の座敷に行ってみると ・・・ 
おじさんと酒井のおばちゃんのラブシーンを目撃

「あっ すみません!」 と 行って店を飛び出した。

おじさんは俺のオカンの妹の旦那さん
そして 酒井のおばちゃんも結婚して子供もいる人

まだ高校1年生の俺にはこれが不倫だとは
当時はまだ知らなかった。

いつもの6時にお店に行った ・・・ とても気まずい
向こうの二人もそうだろう ・・・

でも ・・・
「お~ 亮一 着替える前にこれ運んでくれるか」 と おじさん

酒井のおばちゃんも いたって普通だった ・・・

今だったら絶対に聞かないけど まだ子供だったのか ・・・

恐る恐る ・・・

「おばちゃん結婚してるんですよね?」 と 聞いてしまった。

「あら~ あんなところ見て 動揺してるの~ 可愛いわね~
 浮気なんて誰でもしてるわよ あんたとこのお母さんもしてるわよ」

やっぱり浮気だったのか ・・・

まあ 俺には関係のないことだが
明らかに自分の母親と同じ世代の女性なんで 少し気になっていたんだろ

ここでのアルバイトは高校2年生まで続けた。


高校を卒業して映像製作会社に就職したが
2年しか続かず すぐに漬物工場で働いた。
でも そこも2年そこそこで辞めてしまって
23歳の時に今も勤めている旅館に就職した。

最初はアルバイト扱いだったけど
すぐに正社員に格上げしてもらい現在に至り
今は内務で長をさせてもらっています。

家族経営の旅館なんで もうこれ以上は望めません
でも 給料もいいほうだし 休みもしっかりと頂ける最高の環境です。

この旅館で 29歳の時に知り合ったのが
俺の妻 千代(当時29歳) で 俺とおないです。
他の旅館で仲居の経験があり即戦力として支配人が1発採用でした。

同級生だし俺ともすぐに仲良くなって交際を始めた。
そして、色々と聞いていくうちにおもしろい話しがたくさん出て来た。

俺が2年でやめた漬物工場でも働いてたらしく
高校を卒業してすぐに入った映像製作会社にも面接だけ行ったらしい
これでも びっくりしていたのに ・・・

なんと あの ・・・ 酒井のおばちゃんの娘だった。

磯井千代 って紹介されたので 何も気にしてなかったが
祇園のお寿司屋さんで母がパートをしていたと聞き
もしかして と 思って尋ねてみたら
磯井は酒井のおばちゃんの旧姓だと知った。

お父さんとお母さんが離婚して 
千代は酒井のおばちゃんについて行ったらしい。

俺はこれを聞いて
酒井のおばちゃんの言葉を思い出した。
「浮気なんて誰でもしてるわよ ・・・」

おじさん以外の誰かとも 浮気をしていて
千代のお父さんに追い出されたんじゃないか と 思った。
これは千代には言えません。
自分のお母さんが浮気をしていたなんて 聞きたくないだろうし。

2年間の交際を経て 31歳の時に初めて
千代の実家 いわゆる酒井のおばちゃんに会いに行ったんです。

俺は交際当初から 俺があの寿司屋で働いていた亮一であることは
伏せておいてくれと頼んでいましたので
千代の実家に行った時は おばちゃんも びっくりしていました。

でも、一人娘の千代を何の反対もなく頂きまして
すぐに式を挙げることが出来ました。
新居は旅館にも近い 木屋町のまあまあ良いマンションです。
俺は趣味もなく働きずめだったので結構貯めていました。

そして、一緒に働きながらの新婚生活がスタートしました。

もう、毎日が楽しい
千代を初めて見た時から こんな綺麗な人と結婚できたら
どんなに人生がバラ色になるだろうと思っていたので ・・・

千代は目に特徴があります。
女優でいうならば 柴崎コウさんのような目
少しポッチャリしてますが 色白で 巨乳なんです。


しか~~し!
自分の彼女でも 奥さんでもないときは
全く気にならなかったことが どんどん目に飛び込んでくる。

仲居業務をしているときの お客さんとの会話
同僚や上司との会話
一緒に歩いているときの他の男性の目線
金魚すくいをしている時の的屋のおっさんの千代の胸元への目線
その他 上げればキリがないほど ・・・

千代は交際中に
「ヤキモチを焼くような小さい男性は嫌い」 って 言ってたことがある。

俺はそれを忠実に守ってきたからこそ 結婚まで辿り着けた。
今更その方針を変えるわけにはいかない。
もっと千代の思い描くような大きい男にならなければ!

頭を切り替えたら 行動は早い
仲居業務の最中は千代を一切見ないと決めた。
外を一緒に歩いていても 男性を見ず 女性ばかりを見る。
そしたら 千代に頭をはたかれたけど ・・・

まあ そういうことだ ・・・

そして

結婚して 2年ほど経ったときだった
俺と千代の休みは基本マチマチなので
俺が仕事中に妻が家にいること その逆もある。

ある日 仕事の途中に着替えを取りに帰ると
家に妻と 板前の工藤がいた。

「あれ 何してんのや?」 って 聞くと
「料理を教えてもらってるの?」 と

どう見ても リビングでお茶を飲んでるだけにしか
見えへんかったけど ・・・

工藤 ・・・
俺よりはかなり後輩だが
関東から流れてきた料理人で腕前は最高だと聞いている。

「先輩 お邪魔してます」 と 笑いながら挨拶しやがって ・・・

「ああ ごゆっくり」 と 自分を大きく見せて出たものの
仕事は全然 手につかなかった ・・・

すると
夜の11時に帰宅してビックリ まだ いやがった!
えええええ? なんで? 何してたん?

妻の千代はもう 寝る格好のパジャマ姿だ ・・・

「あっ お疲れさんです それじゃ帰ります」 と 工藤。

「あなたお帰りなさい」
「おう ・・・ えらい長いことおったんやな」
「忘れ物を取りに来たのよ
  昼間はあなたが出たあとすぐに帰ったよ」 と ・・・

「おう そうか ・・・」 大きい 大きい まだ大きいぞ 俺。

でも その2ヵ月後
工藤が退職するという
元々、旅館業は流れ者が多い
要はどこの馬の骨かわからんやつも時々はおるってこと。

広島の旅館に行くらしい
みんなでお別れパーティーをすることになり
それが何故か 俺の家に決まってしまった ・・・
しかも 俺の出勤日 

俺は多分時間内に帰ってこれないので
工藤に前もって餞別として少し渡した。

でも支配人が俺の家で行うことを知っていて
この日だけ 早めに上がらせてくれたんです。

俺は走って帰りました。

そして 腰を抜かしそうになりました。

みんなへべれけ ・・・

板前の若い男の子と風呂に入ってる仲居
この仲居さん 旦那が刑務所に入ってるらしい

リビングで倒れてるやつ
和室で仲居さんの膝枕で寝ているやつ

でも あれ?
妻と肝心の工藤がいない

まだ 起きてるまともな奴に聞いてみた
あの 二人はどこに行ったんや と ・・・

でも 誰も知らないと言う ・・・ なんじゃそれ ・・・

我が家にいないのは確実 全部調べたから
じゃ 外か ・・・ そう言えば マンションの前に
工藤の乗っている車がとまっていた ・・・

俺は1階におりて
そろっと車に近づき 中を覗いて見ると
後部座席のシートを倒して 抱き合ってキスをする妻と工藤を見た!

酒に酔っているのか
それとも あの家に来てたときから こういう仲なのか

なんとかしないと ・・・

俺は警察に通報した
マンションの前に違法駐車があると ・・・
すぐに警察は来た 厳重注意で済んだようだ
ずっと ベランダから覗いていた

すると 妻を乗せた工藤の車が走り去って 消えてしまった
あっちゃ~ すぐ帰ってくるのかと思っていたが

部屋のみんなが帰ったあとも 帰ってこない
妻が帰ってきたのは 夜中の3時だった ・・・

「お~ どこ行ってたんや 心配したぞ」

「ごめん 酔いつぶれて 
  裏の公園のベンチで風に当たってたら 寝てしまって ・・・」

「そうか お前明日仕事やろ はよ寝ろよ」 

なんという嘘をつきやがる ・・・ 俺も情けないけど ・・・

俺はまた 酒井のおばちゃんの言葉を思い出した。
「浮気なんて誰でもしてるわよ」

千代は酒井のおばちゃんのそういったDNAも
しっかりと受け継いでいるんではなかろうか ・・・ そう思った。

でも まだ キスしか見ていない ・・・
酔った勢いでキスなんか ありそうな話しだ 俺はないけど ・・・

とりあえず 様子見 ・・・
俺が他の仲居と喋っていてもヤキモチを焼くのは千代だ
俺には焼くなというが 俺には焼く ・・・ 
自分がされて嫌なことは 俺にもしないだろう
キスはお酒の勢いだ ・・・ 間違いない。


それから ほどなくして
俺たちに子供が出来た 女の子だった。名前は桜

そして千代は職場を辞めることになった。
この子が小学校に上がるまでは子育てもスムーズにいっていた。

しかし ・・・ 娘の桜が小学校に入って直後のことだった。

工藤が舞い戻ってきやがった ・・・

最初は餞別返せよ~ なんて 冗談も言えたが ・・・
そのことを妻に伝えると 目の色が変わった ・・・

あっ 妻にまた浮気の火がついてしまったか ・・・
その予感はすぐに的中した。

その日は朝の6時から 夜の11時までの日
休憩は3時間ほどあるがオンシーズンで仕事が山のようにあった。
でも、1時間でも仮眠をとらないと持たないと思い家に帰った。

玄関を入ってすぐだった ・・・
寝室から妻の声が ・・・ 漏れるどころの声ではない
物凄く大きい声で 喘いでいた ・・・

俺は一応確認のため 会話の内容などを聴いていた ・・・

すると ・・・

「待ってたの~ 政一でないと だめぇ~」 工藤の名前だ ・・・

待ってた? 工藤が帰ってくることを知っていたのか?
そういう約束だったのか?
政一でないとだめ ・・・ 前もそういう関係だったということか?

そして 次の会話にもっと驚いた ・・・

「千代~ 浮気してへんかったか?」 と 工藤が ・・・

「するに決まってるやん 淋しいのに~」

ええええええっ~~ どういうこと? ・・・

「支配人か?」
「も したし ・・・」 支配人 ・・・?

「あとは誰や?」
「板前の中森君とか ・・・」 ええっ?

「あとは~?」

「もう いいやん 全部淋しさを紛らわすためなんやし」

俺と結婚して子供もいるのに
淋しさを紛らわす? なんじゃそれ ・・・

俺はぶち切れてしまった
寝室のドアを蹴り飛ばして 開けて入った

二人ともビックリしていたが 俺は冷静に話した

「工藤はとりあえず 出て行け もう 顔も見たくない
   千代は服を着てこっちへ来い」

工藤は慌てて服を持って 逃げていった ・・・

妻は服を着たあとリビングに来た

「散々、浮気しまくってたんやな?」 と 俺が言うと ・・・

「浮気なんて誰でもしてるでしょう~」 と 妻が答えた。

さすが ・・・ 酒井のおばちゃんの娘だ ・・・

「俺がしたら お前 どう思う?」
「したかったら すればいいやん」
「はあ?」

仲居と喋ったくらいで怒る女が何を言ってるんだと思った。
見つかったから 開き直ってるんだなと ・・・

「わかった 俺も好きにさせてもらうわ。 ほな 仕事に戻る」

妻は少し 青ざめた顔をしていた ・・・


そうは 言ったものの 浮気なんてする気は俺にはない。
よっぽど 妻よりいい女でも現れない限り ないだろう ・・・


それから今日まで 4年ほど経ちました ・・・

このあいだにも 色々とあった ・・・

ボイラー室から 汗だくで出てくる 妻と若い板前 ・・・

単身で宿泊された中年のお客様の部屋での妻の喘ぐ声 ・・・

ベロベロに酔って帰ってきて 
誰か知らん男とマンション前でキスをする妻 ・・・

極めつけは 昼の休憩に帰ってきたとき
俺が帰って来てるのも知ってるくせに 工藤とやり続けたとき ・・・
しかも 聞こえよがしに 1時間で4回ほど逝かされて声を上げていました。

それが 1週間前のことです。
俺は堪忍袋の緒が切れて 出て行けと言いました。

そして 今日の朝 桜を連れて 妻が出て行きました。

俺は桜を育てるのが ・・・
桜の大人になって行く姿を見るのが怖かった ・・・

酒井のおばちゃんと 妻 千代のDNAを受け継いでいるからです。

俺は今 こう思っています ・・・
おそらく 千代の実家でも 誰もいないときに
酒井のおばちゃんが男を連れ込んでいたんだと ・・・

母親が浮気をする現場を千代は見たんだと 何回も ・・・
そして 母親と同じこと繰り返した ・・・ 娘を連れて ・・・

少し頭を冷やしてから 親権については考えます。
あのDNAの破壊力を止めるのは俺にかかっているのかも
知れません ・・・


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