マリの恋人 ①
このお話しは全部で3話あります。
マリの恋人 ①
マリの恋人 ②
マリの恋人 ③
※すべて別窓で開きます。
「もしかして ・・・ その猫 そこで拾われた猫ですか?」
その男性は京都霊山護国神社と書かれた石柱を指差した ・・・
「捨て猫であったことは確かですが
そこかどうかは母に聞いてみないと ・・・」
「そうですか ・・・ お母様は?」
「今日は留守にしてるんですけど?」
『亜沙美 主婦 35歳』 妻の告白
「そっか ・・・ じゃ また今度来ます」
「お近くの方なんですか?」
「はい ・・・ もうちょっと坂を下りて
鴨川のほうへ行ったところです。 じゃあ」
私が家の前で飼っている猫を抱いてたら
急に話し掛けられて ・・・ なんだったのか ・・・
「お母さん マリ って護国の石のところで拾ったん?」
「どうだっただろ ・・・ 石柱の後ろに箱はあったけどね
マリは箱から出てたのかな ・・・? 大雨の日で私も慌ててたから ・・・」
「そう ・・・」
今のお話しにも出てきました
京都霊山護国神社の参道入り口付近で
私の家は みやげもの屋をしています。
お店の前の道を南東に進めば 2年坂 3年坂
そして 清水寺へ 北に向かえば ねねの道
高台寺があり もっと進めば円山公園に八坂神社
そして 真東に険しい坂を上がると護国神社があり
幕末の歴史ファンのあいだでは御馴染みの地域。
そして、この参道は維新の道と名づけられています。
1週間が経ったでしょうか ・・・
私もすっかり忘れていたんですが
「あの ・・・ お母様は?」
「ああ 猫の方ですね? ちょっとお待ちください
お母さん~ ちょっと表まで来てください~」
「すみません 忙しいときに ・・・」
「ああ いいんですよ」
そして 母がその男性と対面 ・・・
「僕の勘違いかも知れませんが 白い猫だったので」
「マリのことですか?」
「あっ マリちゃん って ことはメスだったんですね~」
「あっ はぁ~」
「高校時代 この地域で毎朝、新聞を配ってたんです」
「あああっ あのお兄ちゃんか? スポーツ刈りの ・・・」
「ああ そうかもしれません ・・・」
「で ・・・」
男性の話しはこうです ・・・
高校1年生の時に このあたりの朝刊担当で毎日配っていて
ある日、捨てられている猫を見つけたらしく
近くのみやげもの屋から拝借したダンボールに入れて
例の石柱の後ろに隠していたという ・・・
家にはすでに猫がいたらしく
これ以上は増やせないので 持って帰ることが出来ず
毎朝、新聞配達の途中に用意していた牛乳を猫に与えていた。
でも ・・・
ある 大雨の日に急いで来てみたら もう猫の姿はなく
その後も毎日毎日 そこらじゅうを探しながら
配達をしていたそうな ・・・
「で たまたま、久しぶりに清水寺へ来た帰り
このお店の前を通ったら 真っ白な猫がいて
ハっ と 昔のことを思い出して 声を掛けたんです」
「あっ 思い出したわ お兄ちゃん
毎日 その箱の中にあったお皿に牛乳を入れてたやろ?」
「そうです 2ヶ月間続けましたけど この辺の方かな~
ノラ猫が寄ってくるし やめなさい って 言われて ・・・」
「あっ それ 隣の奥さんやわ(笑)」
「じゃあ この子がチロなんですね」
「あっ チロ って 付けてたんや~」
どうやら 意見が合致したようで
母が大雨の日に拾ったマリはこの男性が毎日
牛乳を与えてた白猫だったようです。
「たまに見に来てもいいですか?」
「ええ どうぞうどうぞ
もう15年経って 年とっちゃったけど 見に来てやってくださいね」
私も猫が好きだから この男性の気持ちが分かる
拾った猫が居なくなって 毎日泣きそうな思いで探していたことでしょう。
15年も前の話しとなると ・・・
私の家は当時 普通の民家でした。
私と結婚した主人の実家が
清水寺の門前で みやげもの屋をしてまして
まあ こっちは支店みたいな感じですね~
5年ほど前に改装してやり始めたんです。
そして その日の夕方でした。
本店から主人が帰ってきまして
「誰あれ 表でマリにエサやってる人」
「あっ ・・・ あの人かな ・・・」
「どっかで見た顔やな~ 後輩かな ・・・」
「マリを一番最初に店の前で見つけた人なのよ」
「へえ~ そうなん」
主人は地元の学校を出ていますので
年齢は主人のほうが上ですが顔くらいは ・・・
という感じでしょうか ・・・
私は小学校から私立なんで地域の子供たちとは
遊んでいませんでしたから分かりません。
「カニカマですか~」
「ああ すみません何回も来て
うちの猫は好きなんですけどね~ マリちゃんは
あまり好きじゃないみたいです ・・・」
「多分 お腹がいっぱいなんだと思いますよ」
「あっ はぁ ・・・」
「一緒に散歩行きますか?」
「あっ 猫が散歩ですか? へぇ~ うちは家から出してないので」
「マリは賢いですから^^ 逃げませんしね」
「はい じゃあ行きます」
私 ・・・ 猫好きの人 好きなんですよね~
話しが合うのはもちろんのこと
何というか 波長が合うというか ・・・
うちの主人は動物が嫌いな人
商売に一途な人ですから 散歩にも来ませんし
マリを触るところも見たことがありません。
そして いつもの散歩コース
高台寺にある公園のベンチへ行きました。
「失礼ですけど お名前は ・・・?」
「寺田陽介といいます。 家はえびす神社のほうです」
「あっ 近いですね~ じゃ 主人と同じ学校ですよね」
「ええ 中学校は一緒だと思いますよ。 お姉さんは ・・・?」
「私ですか? 私は私立だったので ・・・」
「ああ そうですか~」
「寺田さんは おいくつなのかしら」
「31です」
「お姉さんは?」
「あっ ちょっと上ですね ・・・」
「女性に年を聞くなよ! って 感じですよね~ すみません」
「あは^^」
「さっきの方はご主人ですか?」
「ええ 寺田さんの顔を 見た顔だな~って言ってましたよ?」
「でも かなり年上っぽいですね ・・・
俺はこのへんしょっちゅう歩いてますんで」
「うん~ それで見たことあるのかな」
「お姉さんのお名前は?」
「松田亜沙美です」
「たまにお店の前に立っていらっしゃいますよね?」
「ええ ・・・」
「前から綺麗な人だな~って 思ってたんですよ」
「ホントですか? それは嬉しいな^^」
「マリちゃんとは 全然関係ないんですが
今度、お茶でも一緒にどうですか?」
なんと大胆な人。お店と目と鼻の先にある公園で
しかも さっき 主人の存在を知ったばかりなのに ・・・
「まだ知り合ったばかりだしね ・・・^^ ちょっと ・・・」
「ですよね~ 気が早いんです。 すみません ・・・
僕、日曜日が休みなんですけど 今度の日曜日ならいいですか?」
「今度の日曜日といいますと ・・・今日が土曜日なんで ・・・」
「明日です(笑)」
「ハハハ^^ ちょっと ・・・ 急過ぎますよね ・・・」
「ですよね ・・・ でも、イタリアだと女性を見て口説かない男は
逆に女性に対して 失礼にあたるらしいですよ ・・・」
「あっ ここは日本なんで ・・・^^」
「ですよね~ じゃ とりあえず明日来ます
じゃ マリちゃん 帰るよ~~」
「えっ ・・・?」
まっ 悪い人ではなさそうな ・・・
ちょっと強引過ぎるかな ・・・ そんな印象でしたけど
年下の男性と2人で話すなんてめったにないから楽しかったな~。
でも 次の日
本当に来られたんですよね~
「八坂神社の喫茶店なら 1時間で帰って来られますし」
「あっ はぁ ・・・」
「お母さん ちょっと出ますけど
すぐに戻って来ますから ・・・」
あとそれと 母に主人には内緒と
口止めもしておきました。
話していて楽しい人ですけど
自分のペースにどんどん引っ張っていく人だなと思ってました。
でも時間はキッチリ1時間で帰って来れたんです ・・・
「また マリちゃんに会いに来ます~ じゃあ」
「はい またね~」
そして その日の夕方に ・・・
「また来てるな あれは完全にお前目当てやろ~」
と 主人が ・・・
「ではないと思うけど ・・・」
「そんなことより このストラップの注文間違えたん お前け?」
「どれ? これは私じゃないな~」
「お前しか おらんやろ こんな単純なミスをする人間」
「ええっ 私じゃないよ? お母さんかも ・・・」
「あんな痴呆症のお母ちゃんに発注なんかさせるなよ~」
「はあ? 痴呆症って 言いすぎじゃない? それ」
「まあええ 次からしっかり頼むで」
私はこの主人の言い方に腹を立てて 家を出ました。
「寺田さん マリちゃんのお散歩行きますけど?」
「はいっ お供します」
「もしかしてご主人 僕のことで怒っておられたんですか?
「あっ いえ ・・・ お店のことです。気にしないで ・・・」
「寺田さんは独身なんですか?」
「はいっ 彼女はいますけど結婚はまだ ・・・」
「結婚なんてしなければ良かった なんて思うこともあるし ・・・」
「ん~ でも立派だ こんな一等地にお店を構えて」
「寺田さんはお仕事は?」
「僕は大工です」
「大工さんか~ いいお仕事ですね」
「亜沙美さん」
「はい?」
「キスしてもいいですか?」
「あは^^ そう言われて どう答えるんでしょうか~^^」
私はこのときに ベンチから腰を上げ
マリを呼びました ・・・ でも マリが草むらのほうへ行ったので
私も追いかけたのですが ・・・ マズイと思ったんです
あまり 暗いところへは行かないほうがいいと ・・・
でも 遅かった ・・・
マリを抱っこして 振り向いたときには寺田さんが ・・・
マリごと 私を抱きしめるようにして キスをされました
いえ ・・・ 正確に言うと ・・・ しました。
久しぶりのトキメキ感と言うのでしょうか ・・・
初めてお店の前で声を掛けられた時から
なんとなく感じていたんです ・・・
でも この立っている場所から お店が見えています ・・・
「寺田さん 今日はもう ・・・」
「分かりました じゃあ また来ます ・・・」
マリの恋人 ①
マリの恋人 ②
マリの恋人 ③
※すべて別窓で開きます。
「もしかして ・・・ その猫 そこで拾われた猫ですか?」
その男性は京都霊山護国神社と書かれた石柱を指差した ・・・
「捨て猫であったことは確かですが
そこかどうかは母に聞いてみないと ・・・」
「そうですか ・・・ お母様は?」
「今日は留守にしてるんですけど?」
『亜沙美 主婦 35歳』 妻の告白
「そっか ・・・ じゃ また今度来ます」
「お近くの方なんですか?」
「はい ・・・ もうちょっと坂を下りて
鴨川のほうへ行ったところです。 じゃあ」
私が家の前で飼っている猫を抱いてたら
急に話し掛けられて ・・・ なんだったのか ・・・
「お母さん マリ って護国の石のところで拾ったん?」
「どうだっただろ ・・・ 石柱の後ろに箱はあったけどね
マリは箱から出てたのかな ・・・? 大雨の日で私も慌ててたから ・・・」
「そう ・・・」
今のお話しにも出てきました
京都霊山護国神社の参道入り口付近で
私の家は みやげもの屋をしています。
お店の前の道を南東に進めば 2年坂 3年坂
そして 清水寺へ 北に向かえば ねねの道
高台寺があり もっと進めば円山公園に八坂神社
そして 真東に険しい坂を上がると護国神社があり
幕末の歴史ファンのあいだでは御馴染みの地域。
そして、この参道は維新の道と名づけられています。
1週間が経ったでしょうか ・・・
私もすっかり忘れていたんですが
「あの ・・・ お母様は?」
「ああ 猫の方ですね? ちょっとお待ちください
お母さん~ ちょっと表まで来てください~」
「すみません 忙しいときに ・・・」
「ああ いいんですよ」
そして 母がその男性と対面 ・・・
「僕の勘違いかも知れませんが 白い猫だったので」
「マリのことですか?」
「あっ マリちゃん って ことはメスだったんですね~」
「あっ はぁ~」
「高校時代 この地域で毎朝、新聞を配ってたんです」
「あああっ あのお兄ちゃんか? スポーツ刈りの ・・・」
「ああ そうかもしれません ・・・」
「で ・・・」
男性の話しはこうです ・・・
高校1年生の時に このあたりの朝刊担当で毎日配っていて
ある日、捨てられている猫を見つけたらしく
近くのみやげもの屋から拝借したダンボールに入れて
例の石柱の後ろに隠していたという ・・・
家にはすでに猫がいたらしく
これ以上は増やせないので 持って帰ることが出来ず
毎朝、新聞配達の途中に用意していた牛乳を猫に与えていた。
でも ・・・
ある 大雨の日に急いで来てみたら もう猫の姿はなく
その後も毎日毎日 そこらじゅうを探しながら
配達をしていたそうな ・・・
「で たまたま、久しぶりに清水寺へ来た帰り
このお店の前を通ったら 真っ白な猫がいて
ハっ と 昔のことを思い出して 声を掛けたんです」
「あっ 思い出したわ お兄ちゃん
毎日 その箱の中にあったお皿に牛乳を入れてたやろ?」
「そうです 2ヶ月間続けましたけど この辺の方かな~
ノラ猫が寄ってくるし やめなさい って 言われて ・・・」
「あっ それ 隣の奥さんやわ(笑)」
「じゃあ この子がチロなんですね」
「あっ チロ って 付けてたんや~」
どうやら 意見が合致したようで
母が大雨の日に拾ったマリはこの男性が毎日
牛乳を与えてた白猫だったようです。
「たまに見に来てもいいですか?」
「ええ どうぞうどうぞ
もう15年経って 年とっちゃったけど 見に来てやってくださいね」
私も猫が好きだから この男性の気持ちが分かる
拾った猫が居なくなって 毎日泣きそうな思いで探していたことでしょう。
15年も前の話しとなると ・・・
私の家は当時 普通の民家でした。
私と結婚した主人の実家が
清水寺の門前で みやげもの屋をしてまして
まあ こっちは支店みたいな感じですね~
5年ほど前に改装してやり始めたんです。
そして その日の夕方でした。
本店から主人が帰ってきまして
「誰あれ 表でマリにエサやってる人」
「あっ ・・・ あの人かな ・・・」
「どっかで見た顔やな~ 後輩かな ・・・」
「マリを一番最初に店の前で見つけた人なのよ」
「へえ~ そうなん」
主人は地元の学校を出ていますので
年齢は主人のほうが上ですが顔くらいは ・・・
という感じでしょうか ・・・
私は小学校から私立なんで地域の子供たちとは
遊んでいませんでしたから分かりません。
「カニカマですか~」
「ああ すみません何回も来て
うちの猫は好きなんですけどね~ マリちゃんは
あまり好きじゃないみたいです ・・・」
「多分 お腹がいっぱいなんだと思いますよ」
「あっ はぁ ・・・」
「一緒に散歩行きますか?」
「あっ 猫が散歩ですか? へぇ~ うちは家から出してないので」
「マリは賢いですから^^ 逃げませんしね」
「はい じゃあ行きます」
私 ・・・ 猫好きの人 好きなんですよね~
話しが合うのはもちろんのこと
何というか 波長が合うというか ・・・
うちの主人は動物が嫌いな人
商売に一途な人ですから 散歩にも来ませんし
マリを触るところも見たことがありません。
そして いつもの散歩コース
高台寺にある公園のベンチへ行きました。
「失礼ですけど お名前は ・・・?」
「寺田陽介といいます。 家はえびす神社のほうです」
「あっ 近いですね~ じゃ 主人と同じ学校ですよね」
「ええ 中学校は一緒だと思いますよ。 お姉さんは ・・・?」
「私ですか? 私は私立だったので ・・・」
「ああ そうですか~」
「寺田さんは おいくつなのかしら」
「31です」
「お姉さんは?」
「あっ ちょっと上ですね ・・・」
「女性に年を聞くなよ! って 感じですよね~ すみません」
「あは^^」
「さっきの方はご主人ですか?」
「ええ 寺田さんの顔を 見た顔だな~って言ってましたよ?」
「でも かなり年上っぽいですね ・・・
俺はこのへんしょっちゅう歩いてますんで」
「うん~ それで見たことあるのかな」
「お姉さんのお名前は?」
「松田亜沙美です」
「たまにお店の前に立っていらっしゃいますよね?」
「ええ ・・・」
「前から綺麗な人だな~って 思ってたんですよ」
「ホントですか? それは嬉しいな^^」
「マリちゃんとは 全然関係ないんですが
今度、お茶でも一緒にどうですか?」
なんと大胆な人。お店と目と鼻の先にある公園で
しかも さっき 主人の存在を知ったばかりなのに ・・・
「まだ知り合ったばかりだしね ・・・^^ ちょっと ・・・」
「ですよね~ 気が早いんです。 すみません ・・・
僕、日曜日が休みなんですけど 今度の日曜日ならいいですか?」
「今度の日曜日といいますと ・・・今日が土曜日なんで ・・・」
「明日です(笑)」
「ハハハ^^ ちょっと ・・・ 急過ぎますよね ・・・」
「ですよね ・・・ でも、イタリアだと女性を見て口説かない男は
逆に女性に対して 失礼にあたるらしいですよ ・・・」
「あっ ここは日本なんで ・・・^^」
「ですよね~ じゃ とりあえず明日来ます
じゃ マリちゃん 帰るよ~~」
「えっ ・・・?」
まっ 悪い人ではなさそうな ・・・
ちょっと強引過ぎるかな ・・・ そんな印象でしたけど
年下の男性と2人で話すなんてめったにないから楽しかったな~。
でも 次の日
本当に来られたんですよね~
「八坂神社の喫茶店なら 1時間で帰って来られますし」
「あっ はぁ ・・・」
「お母さん ちょっと出ますけど
すぐに戻って来ますから ・・・」
あとそれと 母に主人には内緒と
口止めもしておきました。
話していて楽しい人ですけど
自分のペースにどんどん引っ張っていく人だなと思ってました。
でも時間はキッチリ1時間で帰って来れたんです ・・・
「また マリちゃんに会いに来ます~ じゃあ」
「はい またね~」
そして その日の夕方に ・・・
「また来てるな あれは完全にお前目当てやろ~」
と 主人が ・・・
「ではないと思うけど ・・・」
「そんなことより このストラップの注文間違えたん お前け?」
「どれ? これは私じゃないな~」
「お前しか おらんやろ こんな単純なミスをする人間」
「ええっ 私じゃないよ? お母さんかも ・・・」
「あんな痴呆症のお母ちゃんに発注なんかさせるなよ~」
「はあ? 痴呆症って 言いすぎじゃない? それ」
「まあええ 次からしっかり頼むで」
私はこの主人の言い方に腹を立てて 家を出ました。
「寺田さん マリちゃんのお散歩行きますけど?」
「はいっ お供します」
「もしかしてご主人 僕のことで怒っておられたんですか?
「あっ いえ ・・・ お店のことです。気にしないで ・・・」
「寺田さんは独身なんですか?」
「はいっ 彼女はいますけど結婚はまだ ・・・」
「結婚なんてしなければ良かった なんて思うこともあるし ・・・」
「ん~ でも立派だ こんな一等地にお店を構えて」
「寺田さんはお仕事は?」
「僕は大工です」
「大工さんか~ いいお仕事ですね」
「亜沙美さん」
「はい?」
「キスしてもいいですか?」
「あは^^ そう言われて どう答えるんでしょうか~^^」
私はこのときに ベンチから腰を上げ
マリを呼びました ・・・ でも マリが草むらのほうへ行ったので
私も追いかけたのですが ・・・ マズイと思ったんです
あまり 暗いところへは行かないほうがいいと ・・・
でも 遅かった ・・・
マリを抱っこして 振り向いたときには寺田さんが ・・・
マリごと 私を抱きしめるようにして キスをされました
いえ ・・・ 正確に言うと ・・・ しました。
久しぶりのトキメキ感と言うのでしょうか ・・・
初めてお店の前で声を掛けられた時から
なんとなく感じていたんです ・・・
でも この立っている場所から お店が見えています ・・・
「寺田さん 今日はもう ・・・」
「分かりました じゃあ また来ます ・・・」
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