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時間を止めて ①

このお話しは2部構成になっています

時間を止めて ①
時間を止めて ②

※全て別窓で開きます。




「じゃ ・・・ これで」

「そんな安もんせんと
 こっちの本革にしたらどうや?」

「安もんって ・・・(笑)
 いつもこういうのばかり
  履いてるんですけど^^」

「あっ そうなん?
 デザインも似てるし
  どうせなら高いほうしといてよ」

「そうですか ・・・
 じゃぁ ・・・ その皮で ・・・
  あっ でも ・・・
   色が豊富だな ・・・
    茶 ・・・ 黒 ・・・」

「店員さんっ! ちょっと」

店員
「はい ただいま」

「この本革のブーツ
 黒と茶 2つちょうだいっ」

店員
「ありがとうございます」

「ええっ?2足もですか?」

「うん 家を出るときの気分で
 色変えたらええやん」

『陽子 主婦 40歳』 妻の告白

今から22年前 ・・・

高校を卒業した私は
前々から計画していたように
ここ京都にやってきました。
姉を追いかけて来たんです。

私と8つ年の離れた姉が
京都の大学へ進学して
そのまま京都の男性と結婚

その結婚式の時に京都へ初めて来て
ああ~ 私もここで住みたいっ
と思い 計画を進めてきました。

そして 姉のお世話で
住まいとアルバイト先も
すぐに見つかり順調に
京都ライフを満喫していたんです。

食べ物や景色なら 私の故郷
北海道も負けてはいません でも
古都ならではの情緒というものは
文字通り 古都だからこそ漂わす
独特のムード 遊びのある情景

二年坂 産寧坂の
小雨に濡れる石畳
貴船神社は荘厳でいて美しく
鞍馬と合流した冷たい水は
上賀茂 下賀茂神社の脇を流れ
京都の夏の風物詩
鴨川納涼床を楽しむ人たちに
いっぷくの清涼感を与えます

この大好きな京都へ
両親を説得して
覚悟を決めて来たからには
簡単に帰ったりは出来ない
私は朝も夜も必死に働いていました

そして 冬
雨降りの風が冷たい夕方でした

アルバイトが終わり
徒歩で鴨川に架かる橋を
渡っていると 1台の車に
雨水を大量にかけられてしまい
全身がびしょびしょに ・・・


「ごめん やってしもた 弁償するわ」

「いえ 帰るとこですから
 もういいです 洗ったら ・・・」

「車乗って デパートに行こっ!」


ほぼ無理矢理な状態で
車に乗せられて そのまま
デパートへ直行されたんです

小松春樹さん 当時28歳

ブーツが2足
シャツが3枚 スカートにジーンズ
そして カバン ・・・

総額でおそらく5万円以上は
レジで支払らわれるのを見ていました

「すみません
 こんなにたくさん買ってもらって」

「俺が悪いんやし
 気にせんといて 家まで送るわ」


この小松さんが
私の住むボロアパートを見て
貧乏生活をしていると知ったため

このあと
半年ほどは お菓子や食料品
日用品に電化製品まで
物凄い数の
差し入れが続いていました でも
それ以外のことは何もありません

というのも
京都に来て2年
当時ハタチを迎えていた私は
アルバイト先で仲良くなった
のちの主人(醒井大介 40歳)と
交際をしていたからです。


28歳で中古車販売会社を
経営されていた小松さんは
半年間 私に貢がれてパっと
消えていった人でした ・・・


その後 主人との交際は
順調に続いて26歳で結婚します。

金箔加工関係の会社の
社員だった主人は35歳で独立して 
今は従業員20人の会社の社長です

子供も2人 恵まれて
好きな京都で暮らして
主人は真面目に社長まで登りつめた

これ以上の幸せはもう望んでいません
と思えるほどの気持ちで
今春 40歳を迎えました ・・・

その 誕生日の前日 ・・・

「お兄ちゃんっ! もぉ~
 ゲームばっかりしてんと
  明日学校やろ?はよ寝なさいっ」

「明日、日曜日やで
 もうちょっとっ!
  消さんといてぇな~」

「上にもテレビあるやんかっ」

「小さいにゃ~ 上のは ・・・」

「上でやったらええし
 お母さん疲れてるんよ~
  今日は はよ寝て」

※※※

「あなた ・・・
 子供寝たわよ」

「おぅ 寝たしなんや」

「もぉ~ 明日 
 私の誕生日やで ・・・
  もうちょっとで日付変わるやん^^」

「おいっ いきなり
 チ○ポ握って なんえ^^」

「誕生日くらい ええやろ ・・・
 早く ・・・
  おっぱい吸ったら
   大っきなるんちゃう」

「吸う前に窒息するわ
 お前の巨乳で^^」

「あなた ほらっ
 大っきなってきたで ・・・」

「このために 子供を
 はよ寝かしたんやな^^
  よっしゃ 久しぶりに頑張ろか~」


私たち夫婦の夜の営みは
主人が会社を立ち上げたあたりから
プツっと途絶えてしまいます

今では半年に1回 あるかないか
ほぼ セックスレス状態。 でも
誕生日くらいは
してもらわないと 私もまだ
40歳ですし ・・・


「あぁ~ あなた ・・・
 久しぶりに 入ってきたぁ~」

「今日はどこまでもつかいの」

「今日は我慢して ・・・
 あっ~ そこ ・・・
  気持ちいい~~」

「お前のその色っぽい声を聞くと
 あかんのやわ~ ・・・」

「じゃ 耳塞いであげる^^」

「これ おもろいけ?(笑)」

「だって 私の声を聞かなかったら
 我慢出来るんでしょ~^^」

「そやけど 聞かせてくれや」

「あぁ~ あなた ・・・
 もっと もっと擦って そこよ」

「あっ やっぱりあかん
 もう 出そうになってきた ・・・」

「いやっん~ まだダメぇ~」

「あかん 出るわっ~~」

「いやん!出したらあかん~~!」


20代の頃は
もう少し長かったんですけど ・・・

夫婦のセックスって
こんなもんなんでしょうか
他の男性を知らないし
ハッキリとしたことは言えませんが
私が満足していないのは確かなこと


この誕生日から
1ヶ月ほど経った4月の中旬

私が習っている生け花の先生の
展覧会がありお手伝いに行きました

そして、4時ごろに後片付けをして
開催会場の前でタクシーに乗車

「上七軒までお願いします」

「おおきに ありがとうございます」

慌しい展覧会のお手伝いに
少し疲れていたのか
いつもは無口に黙って乗車するのに
窓から見る京都の景色を眺めて
つい ポロリと ・・・

「京都も観光者が
 増えましたね ・・・」

「ええっ 昔は外人さんなんて
 たまにしか見ませんでしたよ
  今はタクシーにもバンバン  
   乗ってくるしね」

「京都に来て20年以上も
 経ちますけど 変わらないのは
  自然だけかも ・・・
   大文字はあの頃と
    変わっていませんし」

「どちらから 京都に ・・・?」

「北海道です」

「おおっ~ ええとこですな~
 行ったことないけど(笑)」

「まっ 北海道も
 変わりましたけどね^^」

「行ったことはないですけど
 北海道出身の女性との出会いは
  思い出深いな~
   若い頃 粗末な運転で
    女の子に泥水をかけてね^^」


ハっ!としました
北海道 女性 車 泥水 ・・・

私は瞬時に前のネームプレートを
覗き込んだんです。 そこには

『小松春樹』

もしかして ・・・

「可愛い子やったな~
 弁償するって言うて
  高島屋でブーツかなんか
   買ったような記憶が ・・・」

「運転手さん ・・・」

「はい?」

「それ 私です ・・・
 菊池(旧姓)陽子です ・・・
  私がブーツや洋服を
   買ってもらったんです ・・・
    小松さんですよね?」

「陽子ちゃん~?!
 ええっ?ちょっと待って
  車どっかに止めるわっ!」

小松さんは急いで車を
路肩に寄せて止めました。

車中で30分以上話したでしょうか
髪の毛に白髪が少々目立って
いましたが 正面から見ると
昔の面影がしっかり残っていて
間違いなく小松さん ・・・

「その節は
 本当にお世話になりました」

「いやいや
 あの頃は俺も
  羽振りが良くて それに
   陽子ちゃん 可愛かったし^^」

小松さんが突然姿を消したのは
会社が倒産寸前で
それどころじゃなくなった
と いうことでした ・・・

私は聞いていませんでしたけど
当時すでに既婚者で
お子さんもいたらしく
色々あって 今は独身だと ・・・

「昔の話し
 もっとしたいな~ 陽子ちゃん^^」

「ええっ 携帯の番号を
 教えておきますので
  良かったら 今度お茶でも」
と 私から連絡先を教えました

懐かしかったんです
一気にハタチまで
タイムスリップしたような感覚でした

そして 何度か
電話でのやりとりのあと
2人の合った時間に
お茶に行くことになりました。

そして 当日 ・・・
2人の思い出の場所 高島屋
その地下にある喫茶店で
思い出話しをたくさんしました


小松さんが口を開くたびに
私がお礼の言葉を述べる
最初はこれの応酬でした

だって私
電子レンジも炊飯ジャーも
全部小松さんに新品に
してもらいましたから^^

そして時間が経つにつれ
近況の報告のような話題に ・・・

「じゃ 今はおひとりで
 何もかもをされているんですか?」

「飯は外で食ってるし
 コインランドリーも行くし
  家ですることは掃除くらいかな」

「掃除くらいなら
 私が伺ってしてもいいですよ?」

「いやいや そんなんはええけど
 俺 思い出したんや
  車の中に 陽子ちゃんが
   時計を忘れてて
    返さずじまいで
     会わんようになったやろ」

「どんな時計だろ ・・・」

「おもちゃみたいな時計や^^
 ミッキーマウスの」

「ああっ~~!
 思い出した そうそう ・・・
  なくなったんですよ
   預かってくださってたんですね
    っで それは ・・・?」

「どうせ帰り送るし
 俺の家に寄って 渡してあげるわ」

「はい お願いします^^」


200円か ・・・
確か 夜店の当てモノの
景品だったように思います でも
主人がくれたもので
大事に付けていたんです

主人に見せてあげたら
驚くだろうな~^^


「入って入って 狭いけど ・・・」

「お邪魔します」

「お茶でも飲んでいき
 今、用意するわな」

「すみません ・・・」


THE 独り暮らしって感じですね
雑誌やら 服が 転がっていました

「はい~ 美味しいかどうか
 わからんけど 飲んで~
  そして ・・・ これっ!
   もう止まってるけどな^^」

「わあ~ ありがとうございます
 懐かしい~ そうこれこれ^^」

部屋にお邪魔して
最初の30分は喫茶店の延長でした

でも ・・・ 
何故、あのとき
私に手を出さなかったのか
みたいな話しの流れになって ・・・

「彼氏がいるって言うてたやろ?」

「あぁ~ それで ですか ・・・」

「出しても拒否されてたと思う
 彼氏の話しをするときの陽子ちゃん
  目が生き生きとしてたしな」

少し沈黙のあった後 ・・・
小松さんが

「でも 今はもう我慢せえへんで
 人妻ほど 美味しいもんは
 ないんやし 遠慮はせんよ?」

「人妻って ・・・^^
 響きがイヤラしいですよね^^」

「布団敷くわっ」


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